金銀財宝☆只野編隊 金銀財宝☆只野編隊

EPISODE

30桁男

私は深夜に勤務しているので、ちょっと変わった感じの方がお店にいらっしゃるんですよね。1人でやっているから、ちゃんと買ってくれるから、人なんだろうとは思うんですが……。

これは、練馬のコンビニでのお話です。
本当に、3時とか4時ぐらいにいらっしゃるお客さんで、夏とか冬に関わらず、作務衣(さむい)という作業着みたいな和服みたいな服を着て、雪駄という草履みたいなもの履いて来るお客さんがいるんですよ。70代ぐらいの方かな? 髪の毛が直毛というか、スーとして首まで伸びていて、髪の毛を頭の真ん中で分けているんです。鼻の下には聖徳太子のような毛がスーと生えていて、あごにもスーと毛が生えているんですよ。そんなお客さんがよく来るんです。そのお客さんは、いつもPOSAカードと言って、何かお金を入れていろいろ物を買ったり、いろんなことをやるものがあるんですが、それを毎回買いに来るんですよ。まあ、買ってくれるのはいいんです。毎回3,000円分のPOSAカードを買うんですね。買ってそのまま帰ればいいんですが
「あのね、僕、目がちょっと悪いんだよね。この30桁の数字を書いてもらえるかな?」
と言うんです。『ええ?』と思いましたよ。30桁の数字を書くって、結構時間が掛かりますから、本当は嫌ですよ。でもまあ、お客さんもいないし、まあいいかと思って毎回30桁の数字を書いていたんですよ。
「はい、どうぞ。」
「ありがとう。」
と言って帰って行くんです。
こんなことが毎回続くんですよ。
『ああ、来た……。また30桁の数字を書かなきゃなんないよ。』
まあ、いいや、まあ、接客だからと30桁書いてね……。

ある日、そのお客さん、私が入っている時間帯に3回も訪れたんですよ。3回。さすがに私もね『もう、勘弁してくれよ。マジかよ、3回書かなきゃならないのかよ……』と思いながら3回目を書いていた時にふと思ったんですよ。『あれ? 3,000円×3=9,000円。毎回1回だったのに、何で3回も? もしかしたら、この人はPOSAカード詐欺、振り込み詐欺にあっているんじゃないのかなと思って、それまで聞いたことなかったんですが、そのお客さんに聞いてみたんですよ。
「大丈夫ですか? 3回も、これ何かの詐欺でしょう? 大丈夫ですか?」
と聞いたら、今までぼーっとしていたお客さんがニヤッと笑い出して……。
「おお、これ、熟女クラブ。」
と言ったんですよ。
「ええ? 熟女クラブ……?」
何のためらいもなく、エッチなサイトの熟女クラブって言ってきたんですよ。私、もう脳天をパーンと打たれた感じでしたね。まあ、私も芸人ですから、もう、のけぞる感じになりましたよ。熟女クラブ、熟女クラブ、熟女クラブ……。何なんだ、熟女クラブは? という疑問がぶわーってわき出てきまして
「あの、熟女クラブって何ですか?」
「え? これ、すごく良いんだよ。3,000円で30分間、電話でお姉ちゃんが話してくれるんだよ。エッチなお話を。(笑)」
そう言って、今までボーっとしていたお父さんが、キラキラ、キラキラって輝きだしたんですよ。
「それでね、○○ちゃんが良いんだよ。すごくエッチな話をしてくれるんだよ。」
と言って……。
「でも、3,000円ですか?」
「ああ、俺ね、1か月で10万円使っちゃっているんだ。飯を食うお金もやばくて、これで最後にしようと思うんだ。」
と言ってくださいました。

僕の中では、彼はエロ神様になりましたね。
という『これは人です』のお話。

いや、何でしょうね。神様っぽい感じの方が人だったり、人っぽい方が神様じゃないのかな、なんて思う感じでございました。

金銀財宝☆只野編隊のごきげんなラジオ
2024.09.21 O.A.より