EPISODE
4時間の人命救助×2
これは練馬のファミリーマートでのお話です。
12月の終わりくらい、4時間の夜勤の間に2回も警察を呼んだんですよ。
まず1件目。
夜中の1時半に、若い女の子が
「すみません、助けてください!」
と言って店に入って来たんですよ。
「どうしたんですか? 何かあったんですか?」
「あの、あの、男性が倒れているんです!」
「倒れている? 何ですか?」
「分かんない。ちょっと私、どうしていいか分かんないから、店員さん何とかしてください!」
と来たんですけど、私はワンオペなんですよ。お客さんもいるし、まあ、何とかお客さんが来ない間にバーンと行ってみたら、巨大な180センチぐらいの太った坊主のおっさんが、リュックを背負って倒れているわけですよ。よく見ると酒臭くて、寝ているのよ。ああ、でも寒いからこれはやばいな。女性はおどおどしているし……。
「分かりました。僕、警察を呼びます。」
と言って警察を呼んだんです。そしたらチャリンコで1人のお巡りさんさんが来て
「どこですか?」
「こちらです。」
と言って、お巡りさんが何とか保護したというお話があって
『ああ、面倒くせえな。店の仕事じゃないのに面倒くせえな……。』
と思っていたら、そこから4時間後……。
5時15分ぐらいかな。
老婆が
「あの、あの、どうにかして、どうにかなっているのに、どうしたらいいのか、私には分からない。」
と言って、店に入って来たんですよ。
「何ですか?」
と言ったら
「あのね、私、これからお仕事に行くところだったの。あの始発で行こうと思って来たら、上から人が飛び降りたの!」
「ええーーーー! どこですか?」
「だから、隣のビルの3階から若い男性が飛び降りたの! 私、どうしたらいいのか分かんないの。どうしたらいいの?」
「あの、警察、警察、警察を呼びましょう。」
「あの、店員さん来て、店員さん来て。」
と言うから、心の中で『私はワンオペなんでね……。』と思ったけど、飛び降りたっていうありえない状況があったから、私、すぐその現場に行ってみたら、本当に飛び降りているんですよ。マジかと。ただね、その男性は20歳くらいの若い子ですよ。
「痛い、痛い。痛い、痛い、痛い、痛い。店員さん、警察を呼んで。救急車を呼んで。」
「分かった、分かった。しゃべるな、しゃべるな。すぐ呼ぶから。すぐ呼ぶまで待っていろ!」
と言って、警察・消防車・救急車が3台来たんですよ。
それでね、意識があったんですよ。
「大丈夫? 血は出ていない?」
「痛い、痛い。」
「何で落ちたの? 事故?」
「あの、僕、実は……。」
「いいからしゃべるな。」
とりあえずお巡りさんが来て
「あの、血は出ていないようです。大丈夫ですか? 目撃者はいますか?」
と言うんで、そのおばあさんが
「私……。」
「あの、おばあさん。」
と言っていたので
「じゃあ、すみません。私、ワンオペなんで、本当に店に1人なんで戻ります。」
と言ったらね、その後警察の方が来て、現場検証ですよ。
「何だったんですか?」
「すいません、ビデオを見させてもらっていいですか?」
と言うから
「はいはい、ビデオ、いいですよ。あの場所だったら映っていますね。」
「はい、お願いします。」
と言ったけどもね、ちょっとビデオの暗証番号が分かんなかったから、これはもうしょうがない。申し訳ないと思ったけど、店長に電話したのよ。そしたら店長が
「ええ? 飛び降りた? 分かりました、すぐ行きます。」
と言ってね。まあ、飛び起きて、お店に来て、暗証番号を入力してビデオを見たんですよ。お巡りさんにビデオを見せたの。そして、本当に飛び降りたのか、事件性があるのかを確認して、お巡りさんは帰ったんだけど、その飛び降りた方は20歳ですよ。まあ、精神的に何かあったみたいですね。そして、何かずっと
「店員さんいてくれ、いてくれ。」
と言うんですよ。
「いやいや、いやいや。そこにいるおばあさんが見ていてくれるから。」
「いやいや、いてください。知っている人にいてほしいです。知っている人にいてほしいんです。」
と言われてね……。
それをお巡りさんに言ったら
「やっぱり人間って、もう何か死を覚悟したときとか、ヤバイ状況って、少しでも知っている人にいてほしいそうです。まあ、その方はね、たまに夜に来るお客さんだったんでね……。まあ、何とかしてあげましたけれども……。頼むよ。3階から飛び降りんじゃねえよ。何があるか分かんねぇけども、助かったからいいけど、何か骨折したみたいでしたね。
金銀財宝☆只野編隊のごきげんなラジオ
2025.01.18 O.A.より