EPISODE
続・夜の銀座
先月、銀座のお話をしたんですけど「もっと聞きたい!」というコメントがたくさん届いたんです。銀座でのお話はいっぱいあるんで、銀座で働いていたときの夜話をしましょうか。
コロナがまん延する前、芸人さんや役者さん、ミュージシャンが集まって銀座を盛り上げようじゃないかということで、私の知り合いの先輩がお店を開いたんです。そのお店で4~5年働いていたときのお話です。
【机を挟んだ億万長者】
銀座と言えば、それは本物の銀座ですよ。東京の銀座。
もちろん、お店に来るお客さんはお金のある方でございます。社長さん、会長さんが来ます。ただ、私たちが働いていたお店は芸人、役者、ミュージシャンがいる店でございますんで『そんな奴らと関わりたくはないわ。売れてねえんだろう? そんな店に行くかよ!』という人は来ません。お店に来る時点で、私たち側にちょっと心が寄っている、理解力のある社長さんや会長さんなんで、その社長さんと差し飲みするわけですよ。机があって、机の前でお酒を作りながらお話しをして、カラオケを歌いながら盛り上がる。面白いのが、私は家賃が3万6千円の風呂なしアパートに住んでいる芸人でございますよ。その私の目の前に、1億円超えの資産、中には10億円の資産を持つような方々なんですよね。そういう方々がいらっしゃっても、お店では無礼講で、その人たちの頭を叩いたり、面白おかしくやるんですが、いろいろ話しているとお店に何回もいらっしゃるわけですよ。常連さんになっていくわけです。
【銀座に来るわけ】
そうすると、僕もいろいろ質問をするんですよ。
「新橋の向こう側の駅のほう行ったら、お安いお店とかいっぱいありますよね? 銀座なんて、あちらのお店の10倍ぐらいの値段しますよね? 何でこちら側に来るんですか?」
ちょっと失礼だったのかもしれないですけど、社長さんや会長さんたちに質問したんですよ。そうすると返ってくる答えが
「銀座っていうのは、何ていうのかな? ステータスなんだよ。要は、俺はここまで来たと、今年もまだ銀座で飲めるぐらい頑張った。だからここに来るんだ!」
とおっしゃっていました。なるほど、自分確認なんですね。
『銀座で飲むために俺は頑張っているんだよ!』というお話を直に聞かせていただきました。
『自分をもう一回見直す』
『俺はここにいるんだ』
なるほど、そういう考え方もあるんですね。再認識の場所なんですね。
【政治家さんを目指すわけ】
それで、社長さんとか、そういう人たちの中には
「俺は政治家を目指すんだよ!」
というようなことをおっしゃった方もいました。もちろん、政治家の方もチラッと来ていましたよ。名前は言えませんけども……。
「政治家を目指すんだ! 今度、俺、選挙に出るんだよ!」
という方がいましてね。
「はあ、そうですか? 何で政治家を目指すんですか?」
と聞いたら
「うちらはずっと下だよな? 俺たち、ずっと法律の下で生きているよな? 政治家になると法律の上に立てるんだよ。要は、法律を変えられるんだよ!」
『法律を変えられる? 法律の上に立てる?』
ちょっと訳が分からなかったですけど、そういう方がいたというお話です。
【政治家さんと繋がるわけ】
その後、社長さんや会長さんに聞くわけですよ。
「何で政治家さんと関わろうとなさるんですか?」
「あのな、商売というのは、ある程度上まで行ったら限界があるんだよ。でも、もっと上を目指したい、もっと会社を大きくしたい、稼がせるためには法律が関わってくるんだよ。その法律をどうこうできるのが政治家なんだ。だから、もっと会社を大きくするためには政治家とつるまないとだめなんだよ。」
何でしょうね? まあ『その通りだ!』と言う人はその通りだと思っていらっしゃるのかもしれないけど、そういう方々に直接お話を聞くと、説得力がありましたよ。ちょっと意味も分かんなかったんですけど
『そうですか……。』
という気持ちだったんですけど、そんな話がありました。
【日本トップママからの一言】
あと、銀座と言えばママたちですよ。指折りのトップママたちが来るんですよ。
何か知らないけど、全国の博多、京都などの繁華街でトップクラスのママたちが銀座に集まった日があったんです。あれは何だったのかな? すごいママの誕生会か何かに集まったのかな? それで、私が働いていた店に来たんですよ。私はあまり気を遣うこともなく、しゃべりまくっていたんで
「あんた面白いわね。」
なんて言っていただいたんです。本当はすごい方で、気軽にしゃべれるようなママじゃないんでしょうが、そこはもう関係なく無礼講で接して、ママにいろいろと話をするわけですよ。
「やっぱり、銀座とか全国のすごいところで一番になるって、どんな女性なんですか?」と聞いたんですよ。すごい話が聞けるのかと思って期待していたんだけど、ママからは
「顔よ、顔。顔、顔、顔なのよ。どんなに頭が良くても、どんなに仕事ができても、顔よ、顔。顔なのよ。顔が良かったら、仕事なんかできなくたって関係ないのよ。私も長年やってきたけど、やっぱり顔なのよ。」
「おお!」
それを聞いて、私の気持ちは『・・・』ですね。そうなんだ。やっぱり、そうなんだね……。それは、まあ化粧品が売れるわ。
いや、トップクラスの方からの答えがあまりにも分かりやすかったんで、私も
「そうなんですか? そうなんですよね? やっぱそうなんですよね?」
と言う感じで聞かせていただきました。
話してくれたのは、多分すごいママなんですよ。しかし、本当は失礼な話ですけど、私はあまり名前とか、いろいろと記憶せずに、普通にしゃべりまくって盛り上がる感じの性格なんですが、そういうお話を聞かせてもらいました。
【社長も人なのよ】
先ほど、社長さんや会長さんが銀座に来る理由を話したんだけど、他にも聞いた話があって
「あのな、社長とかなると孤独になるんだよ。そうなると寂しいんだ。そうするとね、お金は何とかあるから、銀座に来て君たちと一緒に、夜を楽しく過ごすんだよ。」
と話してくれた方がいました。
お金を持っていても、人間は人間です。ストレスもあります。ただ、高いお金を払っているわけですから、安心した場所で楽しく盛り上がれる場所というのが銀座なんでしょうね。
【お金は生き物】
あとね、社長さんからのアドバイスというのもあったな。
僕はデーブ・スペクターさんに似ていたんで、あだ名が『デーブ』だったんですが
「デーブさ、これは覚えとけよ。いいか、お金というのは生きているからな!」
「はいはい。」
「財布は良い財布を持て。いいか、レシートなんか入れていてみろ。お金は生きているんだよ。生きていたら気持ちいいところに行きてえだろ? お金というのはピン札だ、ピン札。カードはカード、小銭は小銭。ちゃんと仕分けをしておけ。そうじゃないと、お金は生きているんだから、心地いい場所に行くからな!」
という、何というか、オカルトじみた、お金に対する感謝の気持ちというのがね……。
ほとんどの方々、それは皆さん、きれいなお財布を持っていましたよ。これは共通する点でしたね。
「そこは気をつけろ!」
とおっしゃられましたね。
【陰徳とは!】
あと、もう1つおっしゃられたのが
「俺、気づかないところで、良いことをするんだよ。これ『陰徳』と言って、影の徳って言うんだよ。良いことをしたから目立つんじゃないのよ。例えば、俺なんかは、自分の会社のトイレは自分の手で洗っているからな。」
「ええ? マジですか?」
「あとは、ごみが落ちていたら、普通に拾うよ。あのな、見ているんだよ。運というのは上がるんだよ。何かが見ていらっしゃるんだよ。だから、ボランティアにしても、そういうことをやるってことはお金稼ぎじゃないが、運というものは上がるんだ。空き缶なんか落ちていたら、わざわざ拾ってごみ箱に持っていくのは大変かもしれないけども、自分のためだと思ってやるんだ。ただ、目立たないようにやるんだよ。」
という話を、多くの社長さんが共通点を持って話してくださいましたね。だからなんでしょうか。お金を持ってしまうと、違う世界が見えるんでしょうかね。
【あげまんとは!】
ということで、違う世界が見えると言って、オカルトに詳しい人も大勢いらっしゃってね。
「デーブ君、君はインド数秘術(※1)と言うものを知っているか?」
「数秘術って何ですか?」
「数の秘術。これな、もう結構前からインドであったんだよ。江戸時代なんかは、これをやってはだめという感じになって、数秘術をやったら死罪になるような占いがあるんだよ。俺な、それを試してきたんだけども、まあ、女と男がまぐわうよな? セックスをするよな?」
「はい。」
「好きな女の人、好みの女の人ってあるよね?」
「はいはい。だから、そういう人たちと愛し合うんですよね?」
「違うんだよ、デーブ君。あのな、生まれた日にち、時間があるよね? それを、インド数秘術というもので合わせるんだよ。そして、その数字があった子とセックスをすると、運気が上がるんだよ。」
「ええー?」
「だから俺は、もうパパッと『この子だ!』って言うんじゃねえんだよ。銀座の店に行って『君の生年月日は?』って聞くんだよ。そして、自分の控えてある生年月日と何かを合わせる……。そうするとビシッと来る子がいるんだ。顔とかじゃないけど、直感じゃないけど、その子を何とかくどいて、上手くいけばさせていただくと……。そうすると、本当に運気が上がるんだよ。」
「ええー?」
「デーブ君『あげまん』って聞くよな? それだよ。」
「そうなんですか? あげまんは聞いたこがとありますよ。」
「だから、好きという気持ちだけで、そういう関係を持っちゃって下がるだろう? さげまんだ。だから難しいところだよな。インスピレーションで『好きだ!』と思ったとしても、そういうことが世の中にはあるんだよ。」
という、すごくジェントルマンの格好をした社長さんが、いきなりこんな話をしてくるから『この人がこんな話をするの?』って、こっちもキョトンとしていたんで、びっくりしていましたけどね。
いやいや、面白かったなあ。そういう話をしてくださったなあ。不思議な話が好きな人もいっぱいいたな……。
【シャンパン売上1位】
あとは、シャンパンの売り上げが日本でナンバーワンのママがいたな。そのママは、フランスの城に呼ばれるって言っていたな……。
銀座の話はそのくらいでございます。
いろんな方がいらっしゃいますね。
金銀財宝☆只野編隊のごきげんなラジオ
2025.06.21 O.A.より
(※1) インド数秘術
生年月日などの数字を基に、その人の性格、才能、運命などを占う占術。
古代インドで発展した独自の数秘術で、西洋の数秘術とは異なる特徴を持っている。
特に、生年月日から導き出される「霊数」と「運命数」を重視し、これらが人生の前半と後半にそれぞれ影響を与えるとされている。